こんにちは。めぐりです
わたしの夫は県立病院で働く現役の公務員看護師です
看護師夫の経歴
- 看護師歴15年目、現役の県立病院看護師
- 民間総合病院→民間単科病院→県立病院と2回転職
公務員看護師と民間病院看護師の違いを給与以外でも解説している別記事があるのでぜひそちらもご覧ください→click!公務員看護師になるメリット・デメリット【現役】県立病院看護師が教えます!!
公務員と民間の給与は具体的にどう違うの?
公務員は「給与がいい」って言われても具体的な内容に踏み込んだ記事って少ないですよね?
ネットで検索すると、「民間病院看護師より公務員看護師の給与はいい」という言葉はよく見るのですが、どのサイトも具体的な違いってわからないことが多いですよね?
この記事では、民間病院から県立病院に転職し、現役で働いている夫だからこそわかる具体的な情報を交えて、給与の違いを比較して解説していきます
看護師が転職するおすすめの方法については別記事で詳しく解説しています→click!看護師の転職は転職サイト(エージェント)活用がおすすめ
参考にしていただければ幸いです
この記事は以下の人に向けて書きました
- 転職を考えている看護師さん
- 現在公務員看護師だが今のままでいいか悩んでいる看護師さん
- 就職活動の予定のある看護学生さん
給与の中身を理解したほうがいい理由3つ
皆さんは自分の給与明細の見方がわかりますか?
同僚のなかには「自分の手取りがわからない」「基本給ってなに?」とよくわからないままの子がいるのにビックリすることがあります…
就職してから「給与明細の見方」なんて誰も教えてくれません。自分で調べて理解するしかない!!
看護師という職業は初任給から生活するには十分なお金をもらっていて、よほど散財していない限り金欠を意識することがありません
しだいに通帳にはある程度のお金が貯まっていくので毎月の給与に無頓着な方が多いのではないでしょうか?
給与の中身を理解したほうがいい理由を3つ解説します
将来もらえる給与を予測できる
給与の中身を理解することで将来の目標設定や生活費の計画を立てることができます
具体的には、
「3年後に退職して地球1周旅行に行きたいから○○円貯めるぞ!」
「昇給は年○○円だから5年後には給料これくらいだな」
「退職金は○○円になりそうだから老後のための貯蓄は月○○円しよう」
など結婚や出産、子どもがいれば教育費、老後のこと、自分の夢など将来必要なお金を考えるきっかけになり、
「じゃあ今は給与のこれくらいは貯金しよう」
「月々自由に使えるお金は○○円くらいかな?」
「給与のいい病院やクリニックに転職しよう」
というように繋がっていきます
給与は仕事に対する貢献を反映している
給与は仕事に対しての対価です。給与の中身を理解することで自分の価値を認識することに繋がります
仕事内容や量、それに伴う責任の対価として給与が見合っているか?を考えるきっかけになります
もし今の給料が見合っていないと感じるならば転職など、行動を起こすことを考えましょう
狭い世界にこだわらず、もっとあなたを必要とし、仕事に対してしっかり対価(給与)を払ってくれるところはいっぱいあります
給与計算の間違いで支給額が少ないときがある
給与計算に間違いなんてないと思っていませんか?
病院の総務課には給与計算を担当する職員がいますが、「夜勤回数」「残業時間」を100%間違いなく処理してくれていると考えていると損しているかもしれませんよ
「実際より少なく計算されてしまっていた」なんてことはありえます
わたしも夜勤回数が少なく計算されていて総務課で修正してもらったことあります。申請した残業時間と明細に記載された時間が合わない…なんてことは実際ある話です
特に残業時間については「単純な計算間違い」と「故意に減らされている」場合の2パターンがあります
「故意に減らされている」なんてあってはならないことですが、夫が今まで働いたどの病院でも実際、「減らされた疑い」も含め見聞きしたことがあるそうです
特に民間病院の病棟師長はより経営的な視点で上層部から評価されています。「残業が少ない」というのは経営的にプラスですので評価があがります(看護師がサビ残しているかは別)
そのためそもそも残業申請が厳しい傾向にありますし、申請していた時間を後日少なく修正されている!?なんてことも…
でも、給与明細に無頓着な看護師はいちいち明細を確認しないので給与の「計算間違い」や「申請した残業時間が違う」ことに気づきません
せっかく一生懸命働いているんですから労働の対価は確実にもらいましょう
給与の中身を正しく理解することは本当に大事ですからこの記事を最後まで見て給与明細を理解できるようになっていただければと思います
給与明細の中身を知る
それぞれの病院で若干項目が違うと思いますが、給与明細は「勤怠」「支給」「控除」に分けられます
「勤怠」
1ヶ月間の出勤・欠勤日数や実働時間、夜勤回数、残業時間などが記載されている
給与は勤怠情報(タイムカード)を基に計算されます。実際の勤務状況を正しく反映しているか確認しましょう
出勤回数、夜勤回数、残業時間は必ず確認しましょう。「おかしいな」と思ったら総務課に問い合わせましょう
遅刻や早退は給料の支払い対象にならない場合があるので時間有給にしてもらうことも考えよう!
原則、欠勤は給与支払い対象外、有給は給与支払い対象となる
「支給」
支払われる給与の内訳が記載されている
基本給 | 給与の基本となる部分で勤続年数などに応じて変わる。「昇給する」ということは基本給が上がること。 時間外労働や深夜労働、休日労働に対する割増賃金は基本給を基準に計算される。さらに賞与額が「基本給◯ヶ月分」と定められているケースも多い |
残業手当 | 法定労働時間である1日8時間、週40時間を超えて働いた場合に、25%の割増賃金を支払うことが義務付けられている |
夜勤手当 | 夜勤手当(深夜手当、深夜勤務手当)とは、22時〜翌5時の間に働いた場合に支払われる手当で、25%の割増賃金を支払うことが義務付けられている |
休日手当 | 法定休日に働いた場合に支払われる手当で、35%の割増賃金を支払うことが義務付けられている。 法定休日とは雇用主が従業員に最低限与えなければならない休日のことで、1週間に1日もしくは4週間に4日と定められている |
上記3つの手当は労働基準法により支払うことを定められています
と、いうことは…
上記3つ以外の手当は、必ずしも法律で定められているわけではありません。それぞれ企業が独自の手当として就業規則で定めています。
企業独自の手当 | |
---|---|
扶養手当 | 扶養家族がいる従業員に支給される手当 |
住宅手当 | 賃貸マンションなどの家賃を補助する手当 |
通勤手当 | 通勤にかかる定期代やガソリン代の費用を支給 |
地域手当 | 赴任する地域によって違う生活費の差を埋めるために支給される手当。都市部といった物価の高い地域で勤務する場合、ほか勤務地の従業員よりも生活費がかかるため手当が支給される。公務員や大企業ならではの手当 |
役職手当 | 職責への報償として支払われる手当。管理職など所定の役職に就いているときに支給される |
資格手当 | 業務に役立つ資格を持つ場合に支払われる手当 |
皆勤手当 | 無遅刻・無欠勤の場合支払われる手当 |
企業独自の手当は様々です。手当の金額も各企業によって金額が安かったり、上限が決められています
例えば扶養手当では、「配偶者10,000円、子ども1人につき5,000円、上限15,000円まで」と定めている企業があれば、「上限なし」のところもあります
住宅手当も「家賃の半額、上限25,000円まで(賃貸のみ)」と定めている企業があれば「家賃の2/3補助、上限なし(持ち家でも可)」のところもあります
以前働いていた民間病院では「エンゼルケア手当」「保育料全額支給」なんて病院もありました。
「控除」
給与から差し引かれる社会保険料や税金が記載されている
・社会保険料
社会保険とは、すべての国民が安心して安定した生活を営むことができるように、国が各自治体と連携して実施している社会保障制度の1つ。「医療」「介護」「年金」「雇用」「労災」の5つの保険からなる。勤め先により加入する保険が若干違う。原則強制加入の公的な保険制度
社会保険 | 会社員など | 公務員など | 自営業など |
---|---|---|---|
医療保険 | 健保組合 協会けんぽ | 共済組合 | 国民健康保険 |
介護保険 ※① | 介護保険 | 介護保険 | 介護保険 |
年金保険 | 厚生年金 | 厚生年金 | 国民年金 |
雇用保険 | 雇用保険 | - | - |
労災保険 ※② | 労災保険 | 公務災害補償制度 | - |
「医療保険」「年金保険」「雇用保険」「介護保険(40歳から)」は毎月の給与から天引きされます
天引きされる社会保険料は被保険者となる従業員それぞれの給与によって区分されています
・税金
給与から天引きされる税金は「住民税」と「所得税」です
住民税 | 住んでいる都道府県や市区町村に支払う税金。前年の収入に課税されるため看護師2年目の6月から天引きが始まる |
所得税 | 個人の所得に対してかかる税金。収入のうち経費や所得控除を差し引いた残りの課税所得から算出される |
控除とか社会保険とか難しい…
控除の項目は難しいですよね…
一般的に「総支給の80%がおおよその手取り」って言われています
一般的に「額面」とは総支給額のことを言いますが、「手取り」とは総支給額から控除項目を差し引いて給与として口座に振り込まれる額のことです
給与の20%が社会保険料や税金で控除されて、残り80%がおおよその手取りと覚えましょう!
額面300,000円であれば、手取り240,000円
額面400,000円であれば、手取り320,000円
これらとは別に財形貯蓄をしている方は給料から自動で差し引かれ資産形成もできます。
基本給が低いと損をする!?
給与で一番大事なのは「基本給」です
基本給が低いと損をする理由は以下の4つ
- 時間外労働手当(残業手当、深夜手当、休日手当)が低くなる
- 賞与が低くなる
- 退職金が低くなる
- 企業独自の手当はカットされることがある
労働基準法によって、法定労働時間以外に働いた場合は割増賃金を支払うことが決められており、このとき割増しされる基準となるのが基本給の金額です
賞与や退職金は法律で支給を義務付けられたものではなく、勤め先の病院経営状況や方針によって支給の有無や算定方法は違います
賞与に関しては「給与の○ヶ月分」と表現されていることがあり、額面給与を考えがちですが、実際は「基本給の○ヶ月分」と考えたほうがいいでしょう
退職金に関しても基本給に勤続年数別の支給率を掛けて計算する方法が採られることが多いようです
基本給にさまざまな手当が加算されて額面給与となりますが、手当は必ずもらえるとは限りません
個人の働き方が変わり、これまで多かった残業や休日出勤がなくなった場合は、その分の時間外労働手当はなくなりますし、企業独自の手当である住居手当や皆勤手当などが会社の方針でなくなったり、減額されることも考えられます
以前働いていた病院では、入職当初は「保育料全額補助」でしたが、ある年から「上限3万円」に減額されました
手当がなくなった場合、額面給与に対して基本給の割合が小さいと、支給される給与額が大きく減ってしまうことになります
手当がなくなる、減額されることは労働者にとっては不利益となるため、労働者の合意なく企業側が一方的に変更できないことになっています(不利益変更禁止の原則)
しかし、経営状況などから変更が合理的である場合は可能なケースがあります
基本給が低いと損をする理由4つを解説しました
当然病院側も「できるなら基本給を抑えて看護師を確保したい」と考えるでしょう
そのため民間病院に多いのは基本給が低い分手当を手厚くし、給与は見劣りしないようにしているところがあります
でも、手当に惑わされないでください
わたしの経験上手当で特に差が出るのは「夜勤手当」です。前職では1回13,000円の夜勤手当が付きましたが、現職の県立病院では1回3,000円です
同じ月収でも、
基本給20万+諸手当10万=月収30万
基本給27万+諸手当3万=月収30万
なら後者のほうが年収は高いでしょう。年収だけではなく、退職金も大きく変わってくる可能性があります
夫の前職の民間病院がまさにそうで、夜勤手当が高いのは結果的に給与を抑えられるという理由がありました
夜勤手当が大きいので「夜勤回数」で1ヶ月の給与が大きく変わります。例えば、体調不良で夜勤に2回入れない月があったとすると、
前職の民間病院では、26,000円給与が減りますが、現職の県立病院では6,000円減るだけです
体調不良ならその月だけですが、家庭の事情で夜勤に入れる回数が長期間減るとかなりの減収になりますね…
基本給が高いと手当が充実しているよりも年収や退職金が高くなり、個人の働き方の変化にも影響は少ない=安心して長く働きやすい
インターネットで看護師求人を探すとき基本給が掲載されているところがどれほどあるでしょうか?
月収〇〇万円〜という表示が多いのではないでしょうか?
ぜひ「基本給」はどうか?という視点で考えてみてください
公立病院と民間病院の給与比較
それでは夫が働く県立病院と前職の民間病院の給与を比較しながら解説します
県立病院に転職して一番衝撃だったのが基本給の高さです
夫が看護師12年目のとき、民間病院から県立病院へ転職した前後の給与比較表
県立病院 | 民間病院 | |
---|---|---|
基本給 | 269,000円 | 220,000円 |
時間外手当 | 15,084円 残業5時間程度 | 54,379円 残業20時間程度 |
夜勤手当 2交代 | 18,000円 6回(12日) | 104,000円 8回(16日) |
扶養手当 (妻・子3人) | 36,500円 | 20,000円 |
住宅手当 (持家) | - | 12,000円 |
地域手当 | 20,710円 | - |
専門職手当 | 33,300円 | - |
合計(額面) | 392,594円 | 410,379円 |
手取り | 314,075円 | 328,303円 |
比較すると、
- 基本給は県立病院が49,000円高い
- 民間病院は残業が多い分、時間外手当が高い
- 夜勤手当は民間病院が高いが、県立病院は地域手当や専門職手当がある
- 民間病院は扶養手当20,000円上限があったが、県立病院は上限なし
- 民間病院は持家でも手当が出たが、県立病院は賃貸のみ手当あり
以上の特徴がありました
県立病院は残業や夜勤が民間病院より少ないにも関わらず、基本給の高さもあり手取り額ではほぼ差がなかったです
ちなみに県立病院は中途採用でも今までの勤続年数を考慮して採用してくれます。民間病院はどのように勤続年数を考慮してくれるか確認や交渉が必要でしょう
さらに、昇給(基本給が上がること)についても比較します
・前職の民間病院は2,000円/年基本給UP
もし前職の民間病院で働き続けていたら基本給は4年で220,000円→228,000円(8,000円UP)にとどまる
・現職の県立病院は昇給額は一定ではなく5,000円/年程度基本給UP
実際夫が県立病院に転職後、基本給は4年で269,000円→295,300円(26,300円UP)に上昇
民間病院のときは昇給が少なかったので在職6年で給与が増えた実感はなかったです…
「基本給が低いと損をする!?」のところでも解説しましたが、基本給は時間外労働手当や賞与、退職金の算出に影響するので昇給差以上に給与全体のUPも実感していくと思います
まとめ
今回の記事では給与明細の中身を理解するべき理由や給与明細の見方を解説しました
また、夫の転職経験から県立病院と民間病院の違いを「給与」に絞り、実例を交えて比較しました
全ての民間病院が当てはまるわけではないと思いますが、一般的には公立病院のほうが給与が高いことは厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」などから知られています
詳しくは別記事で解説しているのでそちらもご覧ください→click!公務員看護師になるメリット・デメリット【現役】県立病院看護師が教えます!!
基本給は時間外労働手当や賞与、退職金の算出に影響するので年収や生涯賃金にも影響します。就職先の病院を探す際は「手当の充実」よりも「基本給や昇給率はどうか」という視点で探してみてください
夫の同僚のなかには、
「前職の民間病院は基本給15万円固定で基本給の昇給はなく経験年数は手当に加算されていた」なんて教えてくれた子もいるので注意が必要です
わたしが今まで聞いた看護師さんで最低の基本給は50,000円です
就職して「給料が全然上がらない」なんてことで悩まないように就職・転職活動しましょう
別記事では夫の転職経験から看護師が転職するおすすめの方法について詳しく解説しています→click!看護師の転職は転職サイト(エージェント)活用がおすすめ
もちろん給与だけじゃない「やりがい」や「働きやすさ」なども大事ですが「お金も大事」です
公立病院は労働条件も良く長く続けやすいと思います。特に県立病院はそれらのメリットが最大限実感できると思いますので働くことを検討してみてはいかがでしょうか?
最後までご覧いただきありがとうございました