こんにちは。めぐりです
わたしの夫は県立病院で働く現役の公務員看護師です
看護師夫の経歴
- 看護師歴15年目、現役の県立病院看護師
- 民間総合病院→民間単科病院→県立病院と2回転職
公務員看護師は民間病院で働く看護師となにが違うの??
公務員看護師になるメリットってなに??
公立病院といえば、「給料がいい」「休みが多い」「研修が多い」「設備が古い」など思い浮かべると思いますが、実際はどうなのでしょう?
また、どこの「病院」に就職すれば公務員看護師になれるのでしょうか?
民間病院から県立病院に転職し、現役で働いている夫だからこそわかるリアルな情報を交えて「公務員看護師になるメリット・デメリット」を解説します
看護師が転職するおすすめの方法については別記事で詳しく解説しています→click!看護師の転職は転職サイト(エージェント)活用がおすすめ
参考にしていただければ幸いです
この記事は以下の人に向けて書きました
- 転職を考えている看護師さん
- 現在公務員看護師だが今のままでいいか悩んでいる看護師さん
- 就職活動の予定のある看護学生さん
公立病院と民間病院の違い
看護師にとって一番大きな違いは「公務員」かそうでないかです
「公務員」という身分になるかどうか以外違いはないといっていいでしょう
どちらの病院でも働いたことありますが、仕事内容に大差はないです
「公務員」であることのメリット・デメリットは後述します。
早くメリットを知りたい方はこちら
デメリットを知りたい方はこちら
公立病院に勤めれば公務員看護師になるわけですが、少しややこしいので順に解説します
病院は様々な機関や団体、個人が運営しています。大きく分けて「公的病院」「国の医療機関」「民間病院」があります
公立病院とは、都道府県や市町村などの自治体が運営する病院です。地方自治体が運営母体となっている病院で働く看護師は地方公務員となります。広義では「公的病院」です
「公的病院」は公立病院だけではなく、厚生労働省が定めた公的団体を運営母体とする病院もあります。例えば赤十字病院や厚生年金病院、済生会、公立大学病院です。これらで働く看護師は公務員に準ずるみなし公務員(準公務員)となります
国が運営母体であり厚労省や防衛省直属の病院で働く看護師は国家公務員になります
民間病院とは個人や民間の医療法人などが経営している病院です。ここで働く看護師は他と区別するために会社員と定義します。日本の病院の約70%は民間病院です
※「病院」とは20人以上の患者を入院させることができる施設のこと
このように運営母体の違いで同じ看護師でも公務員かどうか分かれます
「地方公務員」「みなし公務員」「国家公務員」の違い
公立病院と民間病院の一番の違いは「公務員」かそうでないかだと解説しましたが、病院における「地方公務員」「みなし公務員」「国家公務員」の違いを下記にまとめました
地方公務員
- 地方自治体の医療機関に雇用されて、地域の医療支える中核病院で働くことが多い
- 地域のニーズを満たすために高度医療を提供する病院やリハビリ専門など特色がある
- 地方公務員法を遵守しなければならない
みなし公務員
- 厳密には「みなし公務員」や「準公務員」という言葉は存在しないが便宜上使われている
- 元々は国が運営していたが、現在は法人化された医療機関で働く人
- 国の医療政策を推進する役割がある
- 法律上の公務員ではないが、公務員に適用される刑法の一部(接待・贈収賄の禁止)なども適用される
- 待遇は公務員に準じる
国家公務員
- 中央省庁やその関連機関で働き、国家全体に関わる組織で働いている人
- 国家公務員法を遵守しなければならない
国の医療機関で働く看護師(国家公務員)は採用条件が厳しく、採用人数も少ない「狭き門」です。少し特殊な職場になるのであまり一般的ではありません
みなし公務員に関しても、それぞれの病院が独自に給与や待遇を決めていることが多く、運営母体によって差があり、「公的病院だからおすすめ」とういうわけではないです
「みなし公務員も公務員待遇でしょ?」と言われます。休日制度などは公務員に準じていると思いますが、みなし公務員の給与は税金から支払われることはありません。運営母体の利益から人件費が出ています
公務員待遇という表現があたかも「公務員である」かのような誤解を招く表現だと個人的には思います
「待遇は公務員に準ずる」=「公務員と同じ」ではない
この記事では、上記3つの公務員のうち、「地方公務員」になることをおすすめしています
公務員看護師のメリット4つ
公務員看護師のメリットを4つ解説します
一般的に言われている内容かもしれませんが、実際に夫が民間病院から転職して肌で感じたリアルな情報もお伝えします
メリット① 給与が高い、収入が安定している
民間病院の看護師よりも「平均賃金は公務員看護師のほうが高い」
これは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」と総務省の「地方公務員給与実態調査結果」で比較すると明らかになっているので間違いないです
「賃金構造基本統計調査」では民間病院で働く看護師の給与実態、「地方公務員給与実態調査結果」では地方公務員の給与実態が明らかになっていました
これらの調査では、みなし公務員は民間病院に含まれています
これらの調査から公務員看護師のほうが平均年収が50~80万円高いことがわかります
「地方公務員給与実態調査結果」では都道府県、市、町村別にも月額給与が明らかにされていました
平均給与 | |
---|---|
都道府県立病院 | 約423,000円 |
市立(市民)病院 | 約382,000円 |
町村立病院 | 約355,000円 |
民間病院 | 約344,000円 |
ちなみに、国家公務員看護師の月額平均給与は約360,000円でした
「国家公務員給与等実態調査」参照
この表から民間病院で働く看護師よりも公務員看護師の方が平均給与が高いことがわかります
さらに、公立病院の中でも「都道府県立病院で働く公務員看護師になるのが給与面を考えると最も良い」というのもわかります
別記事では、都道府県立病院で働くのがなぜ良いかを給与面以外でも深堀していますのでそちらもご覧ください。→こちらをclick!公務員看護師になれば安泰はウソ!?都道府県立病院で働くのが最強!!
民間病院の平均給与は公立病院より低いですが、実際には県立病院より給与が高い民間病院はあります。給与で選ぶなら高給与の民間病院看護師を目指すのもアリです
事実、夫が県立病院に転職する前の民間病院は求人サイトで「高給与」を前面に押していました
確かにその地域では高い給与水準でしたが、24時間救急受け入れをしている急性期病院でしたので、かなり忙しい病院でもありました
日勤定時終わりはほぼなく、2~3時間の残業は当たり前でした。
それゃ残業代で給与も高くなりますよね…
また、民間病院は病院経営により得た利益から人件費が支払われるため、経営状態が悪いと賞与や昇給率、退職金に影響が出やすいです
公立病院も原則「独立採算制」のところが多いですが、不足分は税金が充てられるので経営状態によって給与や賞与などにさほど変動がありません。さらに、勤続年数によって一定のペースで昇給していきます。収入が安定しているのは安心です
以前働いていた民間病院では、コロナ禍で経営が悪くなったとき賞与がガクッと減りました…
公務員看護師の収入が安定していると言われるもう1つの理由は、公務員の身分は法律で守られているからです
地方公務員法第27条2項には、
「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、又は免職されず、この法律又は条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職され、又は降給されることがない。」
と記されています
病院経営が悪いからといって公務員は解雇されることはありません。もし仮に病院がつぶれたとしても基本的には公務員としての身分は法律で守られ、失職することはありません
メリット② 残業が少ない、休日が多い
患者さんの命や生活に直接関わる仕事をする看護師は、その重圧や疲労から離職率が高い職種です。たとえ給与が高くても「残業が多い」「休日が少ない」と心身共に疲れてしまい長く働くのはしんどいですよね?
「残業が多く、休日が少ない分給与が高い」のはまだいいほうで、民間病院にはそのような労働環境で給与も大して高くない、いわゆるブラック病院はいっぱいあります
公立病院は民間病院と比較すると残業が少なく、休日も多いと言われています
県立病院へ転職して明らかに変わったのは給与面よりも残業時間の少なさと休みの多さです。前職では日勤だと帰宅時間は20時~21時くらいでした。今はほぼ定時で終わっているので18時台には帰宅しています。休みも年間で10日は増えた実感があります
民間病院より残業が少なくて、休みが多いのはなぜ??
公立病院は病院の規模に対して看護師の採用人数が多いのではないでしょうか?看護師の多さが残業の少なさ、休みの多さに直結していると実際働いていて感じます
以下で民間病院と公立病院の看護師採用の方針の違いをまとめました
民間病院
経営を重視して人件費を抑えるため最低限の看護師しか採用しないことが多い
→看護師1人当たりの仕事量は増える、人員に余裕もない
→残業が増え、休みが少ない(有休が取りづらい)
→離職率が高くなり、慢性的な看護師不足
公立病院
良質な地域医療を維持し、国が推し進める「働き方改革」に率先して取り組まなければならないため必然と看護師の採用人数が増える
→看護師の採用人員に余裕があるため看護師1人当たりの仕事量は減る
→残業が減り、休みが多い(有休が取りやすい)
→離職率は低くなり、民間病院ほど看護師不足になることはない
最近話題になった、国が推し進める「働き方改革」といえば
- 有給休暇が年5日義務付けられた
- 時間外労働の罰則付き上限規制の導入
国が打ち出した制度を公立病院が率先して取り組まなければ民間病院がついてきません
例えば、有給休暇が年5日義務付けられたときに、民間では夏季休暇など元々あった特別休暇を有給休暇に変えて有給休暇の消化をするということも起きました
看護師が少ないので休みが増えると、現場は勤務者のやりくりができなくなるのです
民間病院は労働基準法で守らなければならない規則はありますが、実際働いていて「労働基準法的にどうなの??」って思うこと結構ありますよね?
一方公立病院は地方公務員法などの規則でも就業時間や休日(特別休暇含め)明確に定められています
もちろん地域や病院規模、部署などによって残業が多くなるケースもあるでしょうが民間病院よりワークライフバランスを取りやすい環境にあると思います
少なくとも、わたしの働いている県立病院では、民間病院で働いていたときより日勤者が2~3人多い、それくらい看護師が多いと感じます。(それでも看護師不足を感じますが…)
メリット➂ 教育制度が充実している
公立病院の使命として高水準で質の高い医療を地域住民に提供する必要があります。最良の医療を提供するために看護師の質も高いものが求められます
そのため、新卒や既卒看護師への教育制度はもちろん、働く全看護師に対して研修計画やキャリアアップを進めるプログラムが考えられています
院内研修やネットで行うeラーニング、院外研修が多数計画されており、受講者が病棟で伝達講習をすることも。研修後課題の期限にあたふたする姿も見ますね
専門看護師や認定看護師の在籍も多く、日中すぐに相談できる体制がとられており、質の高い看護学べる環境が整っています
メリット④ 福利厚生がいい
どの規模の自治体の公務員看護師かによって差がありますが、福利厚生についても民間病院と比較して充実しています
わたしは県の職員なので規模は大きい方だと思います。特に互助会からの各種保険やレジャー施設、会員制リゾートホテルの割引など、プライベートを充実させる魅力的なサービスがあります
また、住宅手当や通勤手当、扶養手当など各種手当があります。育休や産休もしっかり取れますし、男性の育休取得者も増えてきています
福利厚生は所属する自治体病院によって差があるので確かめてみてください
公務員看護師のデメリット5つ
次に公務員看護師になることのデメリットも解説します。「公務員」ならではのデメリットがいくつかあります
デメリット① 副業禁止
公務員は国家公務員法または地方公務員法という法律で副業が禁止されています。発覚すると減給などの処分の対象となります
看護師の中には本業とは別に、休みの日に単発バイトをしている人もいます
民間病院で働いていたころ、わたしの同僚もバーでバイトしたり、別の病院で単発夜勤に入っている子もいました
公務員の場合、確実にアウトになりますので注意が必要です
デメリット② 雇用保険(失業保険)が利用できない
辞める前提で就職する人は少ないと思いますが、職場が合わない、家庭の事情などの理由で自己都合で辞めざるを得ない人はいます
雇用保険は労働者が失業して所得がなくなった場合に、生活の安定や再就職促進を図るために失業給付などを支給する保険をいいます
※以前は「失業保険」と呼ばれていました
公務員はリストラがないですし、基本的には失業することがありません。なので雇用保険に加入できません
自己都合で辞めても雇用保険でもらえる失業給付金などは受け取れないことに注意してください
デメリット➂ 設備や施設が古いことも
公立病院の設備は各自治体や病院の利益から予算が出ますが、予算が乏しい自治体などでは医療設備が古い場合があります
特に過疎化が進む地方の市町村立病院などはそのような傾向が強いです。予算の原資は税金ですから買い替えや補修など慎重に決定されているようです
実際わたしの住む地域の古い町立病院を見たり、そこで働く知り合いの看護師の話からも感じます
興味のある公立病院があれば一度見学に行くことを強くおすすめします
デメリット④ 古い体質、お局(おつぼね)の存在
良くも悪くも規則がしっかりしているので、柔軟な対応が難しいケースが多いです。
今働いている県立病院にある総務課の対応が役所的で「そういう決まりですから」と相談に応じてもらえないことがありました
また、公立病院の離職率は民間病院と比較すると低いのはいいことですが、働く看護師の平均年齢もあがりますので、お局さん(予備軍を含む)の存在が気になるのも事実です
「看護職の公立病院の離職率と病院全体の離職率平均の差」
・公立病院の離職率
正規雇用看護職員8.0% 新卒採用者9.7% 既卒採用者9.1%
・病院全体の離職率
正規雇用看護職員11.6% 新卒採用者10.3% 既卒採用者16.8%
日本看護協会「2022年病院看護実態調査」参照
お局さんにとってもよほどのことがなければ、公務員としての身分が守られるという居心地の良さもありますので働きにくさを感じる若手看護師もいるかもしれません
確かに公立病院のほうが看護師の平均年齢が高いと思います。実際お局さんや「自分と合わない人」というのはどこで働いてもいるので、わたしは公立病院だから多いとは感じません。
ネット上では「公立病院の給与制度は年功序列で上がるため、民間のような成果報酬型の制度はない」というような記事も見かけますが、民間病院も基本的には経験年数とともに基本給があがるシステムです
看護師の能力や資格をもっと給与に反映させてほしいというのは看護業界全体の問題だと思います
デメリット⑤ 災害時の出勤
休日でも地震などの大規模災害があれば出勤しなくてはいけない規則があります。「震度○○以上で全職員出勤」など各公立病院で決まっているので確認が必要です
公務員の使命は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない
これは公務員法で規定されています
災害時の出勤が地方公務員法で規定されているわけではありませんが、社会的使命を考えれば災害時の出勤規定は必然です
医療者である以上大規模災害ではたとえ公務員でなくても必要とされますから「デメリット」に挙げるのは悩みましたが、民間病院より強制力のある出勤命令があると心得ておいたほうがいいです
まとめ
現役県立病院看護師だからわかる「公務員看護師になるメリット・デメリット」を解説しました
民間病院で働く看護師との違いは「公務員になる」ということ以外大差はないです。しかし公務員だから受けられるメリットはデメリット以上に魅力的ではないでしょうか?
わたしの場合「給与」「休日や福利厚生などの待遇面」「職場環境」すべてにおいて民間病院のときよりよくなったと実感しています。転職してよかった!!
今回の記事では公務員看護師になるメリット・デメリットを解説しましたが、公務員看護師のなかでも特に「地方公務員」、もっといえば「都道府県立病院」の看護師になるのが最もおすすめです
その理由については別記事で解説しているのでぜひそちらもご覧ください。→click!公務員看護師になれば安泰はウソ!?都道府県立病院で働くのが最強!!
また看護師が転職するおすすめの方法についても別記事で詳しく解説しています。→click!看護師の転職は転職サイト(エージェント)活用がおすすめ
最後までご覧いただきありがとうございました