こんにちは。めぐりです
わたしの夫は県立病院で働く現役の公務員看護師です
看護師夫の経歴
- 看護師歴15年目、現役の県立病院看護師
- 民間総合病院→民間単科病院→県立病院と2回転職
看護師が働きながら大卒取れる?
メリットって何だろう??
夫は、3年課程の看護専門学校を卒業しました
その後、看護師4年目の10月に通信制放送大学に入学し1年かけて単位を取り、「学士(看護学)」を取っています
下の写真は実際に夫が持っている学位記の写真です↓
今回は、夫の学士取得の経験から「働きながら学士を取った方法」と「学士を取るメリット」について解説します
ぜひ参考にしてください
この記事は以下の人に向けて書きました
- 看護師になるのに大学か専門学校かどちらに進学するか悩んでいる人
- 現在、看護専門学校在学中の看護学生さん
- 現在、看護師として働いていてキャリアアップや転職を考えている看護師さん
「学士(看護学)」とは?
「学士」は4年制大学卒業と同時にもらえる学位です。ちなみに修士課程卒業でもらえるのが「修士」、博士課程卒業でもらえるのが「博士」です
大学の看護学部を卒業すれば、「学士(看護学)」がもらえますし、教育学部なら「学士(教育学)」がもらえ、経済学部なら「学士(経済学)」がもらえます
看護学士という表記は、1991年の学校教育法の学位規則改定により、「看護学士」から「学士(看護学)」へ表記が変わりました
一方、2年生以上の看護専門学校を卒業すると学士ではなく、「専門士」がもらえます。最終学歴は短大卒と同等に扱われ、専門士をもっていれば大学編入が可能になります
「学士(看護学)」をもっているということは「大卒(または同等)」の証明になります
学士(看護学)をとるメリット
看護専門学校卒の夫が実際に学士(看護学)をとって感じたメリットは以下の4つ
- 転職時に評価された
- 給与UPに繋がった
- キャリアアップの選択肢が増えた
- 看護学を学び直すことで仕事へのモチベーションが上がった
ひとつずつ解説します
転職時に評価された
夫は看護師4年目のときに働きながら通信制大学で学位(看護学)をとり、看護師7年目で転職
⇒ 履歴書にはもちろん学位取得の経歴を記入
⇒ 資格の証明では看護師免許と学位記を提出
⇒ 面接では働きながら学び直す姿勢を評価された
採用担当からすると「履歴書」と「面接」でしかその人を判断できません
採用の基準は明確にはわかりませんが、「働き続けてくれる人」「周りと調和のとれる人」「真面目に働いてくれる人」を採用したいのは間違いないでしょう
「働きながら自ら学び直し学位をとる」=「真面目に長く働いてくれそうだ」と好意的に判断してもらえ、転職活動を優位に進められます
給与UPに繋がった
多くの病院が「大卒」か「専門卒」かで基本給に差をつけています。
わたしが最初転職した民間病院では大卒のほうが5千円基本給が高かったです
基本給5千円の差ってたいしたことないと思いますか?
単純に年間で6万円差が出ますし、一般的に時間外労働手当や賞与、退職金は基本給から算出されるので年収換算するともっと差が出ます
給与明細の見方や基本給の解説をした別記事があるのでそちらもご覧ください→click!公立病院と民間病院を徹底比較!!給与の違い【実例あり】
日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」によると、2022年における新卒の大卒と専門卒の基本給の差は大卒が6,340円高いことがわかります
平均基本給 | |
---|---|
専門卒 | 203,276円 |
大卒 | 209,616円 |
基本給の差を各種手当や賞与に反映させると、年収では約10万円大卒が高くなる傾向にあります
また、昇給幅も大卒の方が一般的に高いようで、生涯年収にすると数百万円以上の開きが出てくるようです
わたしは学位をもっていたので転職時に転職エージェントに交渉してもらい、「大卒扱い」で採用してもらえました
夫の転職経験をもとに転職を有利に進める方法を別記事にしていますのでそちらもご覧ください→click!看護師転職は転職サイト(エージェント)の活用がおすすめ
キャリアアップの選択肢が増えた
学士をとったことで、大学院への進学や専門看護師への道が開けます
看護師は病院で患者さん相手に看護するだけが全てではありません。働きだして研究や教育者に興味がある場合、学士をとることでキャリアアップの選択肢が増えます
転職時に採用条件が大卒以上に限定されている病院や施設、研究機関、学校などがあり大卒であることで就職先の選択肢の幅が広がる可能性が高いのです
また、病院によっては大卒のほうが管理職になりやすい場合もあります
昔と比べて大卒の看護師が増えてきていますが、日本はまだまだ学歴社会であり、たとえ三流大学と呼ばれる大学でも専門卒よりは学歴は上です
近年は看護師の地位向上の機運の高まりもありますが、まだまだ社会的地位は低い…
社会的地位が低い=賃金が低い
社会的地位が低い原因の一つに看護師は、准看護師や専門学校、大学など様々な看護師になるルートがあるためだと言われています。医者や薬剤師は6年制大学のみです
そんな中、少子化の影響で一人の子につぎ込む教育費も増大傾向にあり、大学の看護学部を選択する受験生が多くなってきています
事実、以下の記事でもわかるように「大卒看護師」が増えています
大卒の看護師は、かつては少なかった。国家試験合格者に占める大卒者の割合は1999年にはわずか4.6%にとどまっていた。しかし近年、右肩上がりで増え続け、2005年に14.8%、14年には29.7%に。さら16年では31.7%、21年は38.2%と増え、22年にはついに4割を超えた。
引用元 Jcast トレンド https://www.j-cast.com/trend/2023/10/09470420.html?p=all
今後ますます後輩は「大卒の看護師」が増えていくでしょう
最終学歴が「専門学校卒」だと、学歴の壁を感じることが出てくるかもしれません
看護学を学び直すことで仕事へのモチベーションが上がった
学士(看護学)をとるためには学位申請に必要な専門科目や関連科目の単位を取る必要があります
看護師として働きながら改めて通信制大学で授業を受けると、授業で習うことが臨床の場とリンクしてイメージが湧きやすく「なるほど!」と思えることが多々あります
また、授業で習ったことが日常の看護にすぐ活かせるのも楽しいです
例えば解剖生理学では、自分の所属する病棟の疾患と結び付きやすく、普段なんとなく看護していたことが解剖生理を理解して実践に移せるようになり自分の看護の質が上がった感じがします
看護師1.2年目は自宅でも良くノートにまとめたり、復習したり勉強したと思いますが、年々自発的に勉強することが少なくなりますよね?
受講料を払って自分の意志で勉強するのは日々の仕事へのモチベーションUPにも繋がりました
「学び直すって楽しいな!」と思える良い機会になり、この体験はその後の人生でも新しいことに挑戦するとき自分の背中を押してくれるはず!!
看護師をしながら学士を取るなら通信制大学がおすすめな理由3つ
休職せず看護師をしながら学士を取るにはどうすればいいのでしょうか?
方法は2つ
- 通信制大学の活用
- 夜間大学に通う
おすすめは断然、「通信制大学の活用」です
夜間大学は平日の18時以降や土曜日に授業が行われます
働きながら通えるということで社会人に人気がありますが、看護師の場合定時で終わるか分からないですし、激務の後に授業を受ける余裕があるでしょうか?
一方通信制大学は自宅学習を中心に、通信教育で大学の科目を履修します
以下で通信制大学の活用がおすすめな理由を解説します
自宅学習が中心
- スクーリングという教室参加型の授業がある場合もあるが、単位取得のためのテストもコロナ禍以降はオンライン試験となり、ほぼ通信だけで完結できる
- 家庭を持っている人、シフトで働く看護師におすすめ
- 通信制大学は時間と場所を選ばず学習できることが魅力
学費が安い、コスパが良い
夫が実際に活用した放送大学の例
- 専門学校3年課程を卒業しており大学卒業を目指すなら、3年次編入学で学費は入学費と合わせて約40万円
- 専門学校3年課程を卒業しており学士(看護学)の取得を目指すなら、入学費9000円と1単位6000円×31単位なので約20万円
放送大学のHPを参考にしたので確認してみてくださいhttps://www.ouj.ac.jp/admission/gakubu/tuition/
今現在、進学先に「大学」か「専門学校」か悩んでいる方にも考えてもらいたいのですが、
- 3年課程の専門学校を卒業すると、大卒より早く看護師になるので1年分の年収(約400万円)が多くもらえる
- 看護大学の学費は専門学校より高い傾向にある(特に私立大学)
- 専門学校は奨学金を利用すれば将来的に学費免除できることがある(病院が看護師確保のため奨学金制度を用意している)
これらから、専門学校への進学が費用を抑えられることがわかると思います
また、看護師を休職して大学に通うとなると大学費用は通信大学よりかかりますし、休職期間の収入がなくなるので、年収×通学年数分の所得が減ります
年収約500万円×2年+大学費用=1,000万円以上の損失
つまり、
専門学校に進学し、働きながら通信大学で大卒・学士(看護学)をとるという選択肢が最もコスパが良い
といえます
入学試験がない、在学を期間を延長できる
夫は通信制大学である「放送大学」を活用しましたが、入学試験はありませんでした。必要な書類を出せば入学できます
3年課程の専門学校を卒業した場合、最短1年で学士(看護学)を取得するための単位をとることができますが、通信制大学は在学を更新できるので自分のペースで時間をかけ学習していけるのがいいです
放送大学では入学時に「学生の種類」を選択できます。「学生の種類」によって入学費用や在学期間が変わりますが「再入学」も可能です
詳しくは別記事でまとめているのでそちらもご覧ください→click!看護師が働きながら最短で学士(看護学)取ったスケジュール【経験談】
看護師をしながら学士を目指す際に注意すべき点
働きながら自分の時間を使って授業を受けたり、単位認定試験のための学習を継続することは簡単なことではありません
以下に看護師をしながら学士を目指す際に注意すべき点を経験をもとに解説します
具体的な目標を持つ
「今の自分よりステップアップしたい!」
「キャリアアップに繋げたい!」
という目標を持つ。もっと言えば、
「○年後にこの病院を辞めて転職するときに大卒で採用してもらいたい」
「専門看護師になりたい」
「看護学校の教員になりたい」
など、具体的な目標がないと続けるのはしんどいです
わたしは数年後に転職することを決めていたこともあり、転職活動のときに大卒扱いで採用してもらうために逆算して学士を取りました
「なんとなく通信制の大学で勉強しよう」「とりあえず学士取りたい」などのように、意志がはっきりしていないと挫折してしまう可能性が高いです
ただでさえ毎日の仕事に疲れているのに「休みの日くらい遊びたい」「ゆっくりしたい」と思うでしょう。まずは具体的な目標を持ちましょう!!
学士(看護学)を取るか、大学卒業にこだわるか?
実は給与UPやキャリアアップを目指すうえで、あくまでも「大学卒業」というステータスにこだわったほうがいい場面があります
わたしは学士(看護学)を取得し、放送大学は卒業していません。
卒業しなかったことで、2回目の転職のとき後悔しました…
大卒や学士の取得は転職時に給与交渉できる材料のひとつ
現在の働いている病院で学士(看護学)をとったからといって、
「やくやったね。じゃあ来月から大卒扱いで基本給上げます」とはならないと思っていてください
総務課などで交渉してみる価値はあると思いますが、おそらくダメでしょう
大きな病院ほど総務課でマニュアル通りの対応をされます
個人病院など小さな病院では、在職中に交渉する価値はあるかもしれません。院長との関係性もあるかもしれませんが、院長の一声で給与を上げてもらえる可能性があります
一般的に入職時の学歴で給与は計算されています。在職中ではなく「転職時に給与交渉ができる材料のひとつ」と考えてください
大卒や学士の取得が「給与UPのため」と考えているなら、通信制大学に入学する前に「もし学位を取ったら大卒と同等の給与計算をしてもらえるか?」を確認しておいたほうがいいです
夫は、1回目の転職で無事大卒扱いで採用してもらいました
しかし、2回目の転職のときには「大卒」にこだわっていた方がよかったと後悔しました。
2回目の転職では県立病院に入職したのですが、県立病院では大卒扱いにしてもらえなかったです
数回にわたり、学士(看護学)をもっていることを説明し、大卒扱いにならないか総務課や県の病院局に相談しましたが無理でした
夫の在籍する県立病院はあくまでも「大卒」かどうかが重要だという見解でした
学士(看護学)の取得=大卒ではない
通信制大学では「学士取得のための単位を積み上げるだけ」か、「大学卒業を目指す」かの2パターンがあります
少しややこしいので通信制大学の放送大学を例に挙げます
放送大学で「大学卒業」するには、2年次または3年次に編入学して「教養学部」を卒業することで可能ですが、この場合卒業と同時に得られる学位は「学士(教養)」です
放送大学に限らず通信制大学には「看護学部」はないので、どこの通信制大学を卒業しても「学士(看護学)」の学位は得られません
各通信制大学は「心理学部」「社会福祉学部」などそれぞれ特色があり、卒業で得られる学位は違います
学士(看護学)を取得するためにはどうすればいいの??
放送大学で学士(看護学)の学位申請に必要な単位を取り、大学改革支援・学位授与機構に学修成果(レポート)を提出し合格する必要があります
この場合、大学を卒業しているわけではないので厳密には「最終学歴は大卒ではない」ということを理解しておいてください
以上のことから、
通信制大学を卒業しても学位(看護学)は取得できない
※学士(教養)のように各通信制大学で卒業時に取れる学位はある
学士(看護学)取得を優先すれば、大学卒業はできない
下の図は放送大学を利用して「大学卒業」を目指す場合と、「学士(看護学)取得」を目指す場合のフローチャートです
もちろん放送大学を卒業して、学士(看護学)取得に必要な単位を取れていれば申請することで「学士(看護学)の取得」も両方目指すことが可能です
放送大学でも大卒と看護学の両方を取得するための案内を出していますのでそちらも参考にしてください→click!「大卒&看護学の両方を取得するには!」
転職をきっかけに給与UPを目的とするなら、転職先の病院が「大卒(学部は問わない)」を重視しているのか「学士(看護学)」を重視しているのか、はたまた「大卒で学士(看護学)」を持っていることを重視しているのか情報収集しておいたほうがいいです
まとめ
今回は看護師が働きながら大卒・学士(看護学)を取る方法とそのメリットを注意点を交えながら解説しました
近年、大卒の看護師が増えてきましたが、まだまだ専門学校卒の看護師が多いです
当時の家庭の事情や学力など様々な理由で大学進学をあきらめていた看護師さんもおられると思います
いまいちど自分を奮い立たせて「働きながら大卒・学士(看護学)を取る」という選択肢を考えてみてもいいのではないでしょうか?
難しそうだし、わたしには無理だろう…
わたしはほとんど、単位認定試験前に自己学習しただけです
日々の学習なんて必要ないですよ!
夫が実際にどのようなスケジュールや勉強法で学士(看護学)を取ったかは別記事で詳しく解説していますのでそちらも参考にしてください→click!看護師が働きながら最短で学士(看護学)取ったスケジュール【経験談】
学士取得するにあたって最大の壁となるのは単位の積み上げではなく、「学修成果(レポート)」の作成です
「学修成果」作成のポイントや夫が書いた学修成果の実例を解説した別記事もあります→click!最短で学士(看護学)取得のための学修成果の書き方【実例あり】
また、せっかく学士(看護学)を取っても転職に有効に使わなければ意味がありません
実は大学改革支援・学位授与機構に申請して取得する学士(看護学)は、世間に広く認知されている訳ではありません
大学改革支援・学位授与機構のことや授与される学位の意味合い、大卒との違いについての案内はこちらのpdfパンフレットを参照してください→click!学位授与機構から授与される学位を広く理解して頂くために
転職のとき、採用担当者に理解してもらい「大卒の給与体系」で採用してもらうためには交渉が重要になってきます
その交渉を含め、転職を優位に進めるためには転職サイト(エージェント)の活用が不可欠です→click!看護師転職は転職サイト(エージェント)の活用がおすすめ
これらの記事が働きながら大卒や学士(看護学)取得を目指す看護師さんの参考になれば幸いです
最後までご覧いただきありがとうございました